Actress〜偽りから始まるプラハの恋〜
すると若い男性はカウンターの方へ近寄ってくると、千葉真梨花の横まで来て声を荒げる。
「おい、真梨花!誰だよ、その男!」
「のりくんには関係ないでしょ?もう帰ってくれるかしらぁ」
「お前、神奈月亜希の件を俺にだけ罪を擦りつけて逃げる気かよ!」
「ちょ、ちょっと‥‥!」
ここで初めて千葉真梨花は狼狽える。
頭に血が昇っている若い男は、周囲の目も気にせずさらに続ける。
「俺のところに弁護士が来たんだよ!睡眠薬を飲ませて運んでるところの証拠映像があるって!ホテルとマンションの監視カメラに映ってたらしくて、俺の顔がバッチリ分かるものなんだよ。お前の顔は識別がつかないからって、俺だけ訴えるって言うし。全部お前の指示でお前も一緒にいたのに、狡いだろ!」
「し、知らないわよぉ!」
「ふざけんな!逆に俺はこういう時のために、お前から指示をされた時のメッセージを保管してあるんだよ。1人だけ逃げれると思うな!外交官捕まえてセレブ婚で海外に逃げるつもりなんだろ?絶対させないからな!」
「ちょっと、証拠って何のことよ!」
ラグジュアリーホテルとは場違いな言い合いに、周囲の目を集めていることにも気付かない馬鹿2人はさらに言い合っている。
もうこれで十分かと判断した僕は、スマホを操作して合図をする。
すると突然、パシャパシャとカメラのフラッシュが光り、千葉真梨花と若い男性が写真におさめられた。
「えっ!?ちょっと何ぃ!?」
「なんだ!?」
困惑する2人に、僕はニッコリと笑顔を浮かべ、優しい口調で話しかける。
「あぁ、驚いてしまわれましたか?さっきのフラッシュは週刊誌の記者さんが撮ったみたいですね」
「週刊誌の記者‥‥?」
「ええ。あなた達が神奈月亜希さんに薬を盛って運んでいるところの証拠映像を見てもらったら、今回のことに協力してくださったんですよ」
そういって記者を見やれば、バツが悪そうにしながら頷く。
あの記者はプラハにまで来て環菜を撮り、記事にした人だという。
皆川さんが以前に会っていて名刺交換をしていたことで人物を特定することができた。
名刺の住所を訪れ、「証拠映像があるからこそ、デタラメ記事を上げたと名誉毀損で訴える」と言ってちょっと微笑んでやれば協力してくれたのだ。
フリーの記者である彼は裁判沙汰は避けたかったのだろう。
「え?どういうことぉ?桜庭さん??」
「千葉真梨花さんが関わった決定的な証拠だけが見つからなかったもので困ってたんですけど、彼が持っていたようですね。助かりました」
千葉真梨花は映像にハッキリ映っておらず関わった明確な証拠がなかった。
だが、男の方はなにかの証拠を持っていることを弁護士に匂わせたのだ。
だから男の方に「あの女は全部罪を擦りつけて外交官の男と海外に消えるつもりのようだ」と吹き込んで、ここへ来させたのだった。
「え?え?桜庭さんは私のことがタイプで妻にしたいって思ってたんじゃないんですかぁ?どうしちゃったのぉ!?」
舌ったらずな甘えた口調で僕にすがりついてくるように手を伸ばしてくる。
当然もう我慢する必要もないので、すげなく振り払う。
さっきまでの甘い空気から一転した僕の態度に千葉真梨花は驚愕した表情を浮かべた。
「おい、真梨花!誰だよ、その男!」
「のりくんには関係ないでしょ?もう帰ってくれるかしらぁ」
「お前、神奈月亜希の件を俺にだけ罪を擦りつけて逃げる気かよ!」
「ちょ、ちょっと‥‥!」
ここで初めて千葉真梨花は狼狽える。
頭に血が昇っている若い男は、周囲の目も気にせずさらに続ける。
「俺のところに弁護士が来たんだよ!睡眠薬を飲ませて運んでるところの証拠映像があるって!ホテルとマンションの監視カメラに映ってたらしくて、俺の顔がバッチリ分かるものなんだよ。お前の顔は識別がつかないからって、俺だけ訴えるって言うし。全部お前の指示でお前も一緒にいたのに、狡いだろ!」
「し、知らないわよぉ!」
「ふざけんな!逆に俺はこういう時のために、お前から指示をされた時のメッセージを保管してあるんだよ。1人だけ逃げれると思うな!外交官捕まえてセレブ婚で海外に逃げるつもりなんだろ?絶対させないからな!」
「ちょっと、証拠って何のことよ!」
ラグジュアリーホテルとは場違いな言い合いに、周囲の目を集めていることにも気付かない馬鹿2人はさらに言い合っている。
もうこれで十分かと判断した僕は、スマホを操作して合図をする。
すると突然、パシャパシャとカメラのフラッシュが光り、千葉真梨花と若い男性が写真におさめられた。
「えっ!?ちょっと何ぃ!?」
「なんだ!?」
困惑する2人に、僕はニッコリと笑顔を浮かべ、優しい口調で話しかける。
「あぁ、驚いてしまわれましたか?さっきのフラッシュは週刊誌の記者さんが撮ったみたいですね」
「週刊誌の記者‥‥?」
「ええ。あなた達が神奈月亜希さんに薬を盛って運んでいるところの証拠映像を見てもらったら、今回のことに協力してくださったんですよ」
そういって記者を見やれば、バツが悪そうにしながら頷く。
あの記者はプラハにまで来て環菜を撮り、記事にした人だという。
皆川さんが以前に会っていて名刺交換をしていたことで人物を特定することができた。
名刺の住所を訪れ、「証拠映像があるからこそ、デタラメ記事を上げたと名誉毀損で訴える」と言ってちょっと微笑んでやれば協力してくれたのだ。
フリーの記者である彼は裁判沙汰は避けたかったのだろう。
「え?どういうことぉ?桜庭さん??」
「千葉真梨花さんが関わった決定的な証拠だけが見つからなかったもので困ってたんですけど、彼が持っていたようですね。助かりました」
千葉真梨花は映像にハッキリ映っておらず関わった明確な証拠がなかった。
だが、男の方はなにかの証拠を持っていることを弁護士に匂わせたのだ。
だから男の方に「あの女は全部罪を擦りつけて外交官の男と海外に消えるつもりのようだ」と吹き込んで、ここへ来させたのだった。
「え?え?桜庭さんは私のことがタイプで妻にしたいって思ってたんじゃないんですかぁ?どうしちゃったのぉ!?」
舌ったらずな甘えた口調で僕にすがりついてくるように手を伸ばしてくる。
当然もう我慢する必要もないので、すげなく振り払う。
さっきまでの甘い空気から一転した僕の態度に千葉真梨花は驚愕した表情を浮かべた。