Actress〜偽りから始まるプラハの恋〜
「そんな嘘でしょう‥‥。智行さんはスリにあった私を助けてくれる優しい人だもの。そんなことしないですよね‥‥?」
三上さんという女性は、涙を浮かべながら懇願するように智くんを見つめる。
その瞳には好きな人を一身に想う恋する色が浮かんでいた。
「僕はもともとこういう人間ですよ。あなたを助けたのは仕事の一環です」
スパッと言い切る智くんに、三上さんは絶望した顔になった。
もうその瞳には恐怖の色しかなかった。
「こちらにはこのように音声データがあります。表沙汰にしたくなかったら、2度と僕たちに近づかないでください。もし守って頂けないようでしたら、こちらも遠慮なくいかせて頂きますので悪しからず」
釘を刺すように止めの一言を智くんが述べると、2人は逃げ出すようにその場から消えて行った。
その場に残された私は、智くんと渡瀬さんを振り返り交互に視線を送る。
「助けてくれてありがとうございました。あの、2人はどうしてここへ‥‥?」
タイミングよく現れただけでなく、あんな音声データまで持っていたとなると、2人はあの人たちをマークしていたのだろうか。
「環菜が無事で良かったよ」
智くんは背後から抱きしめていた私の首筋に顔を埋めるようにして、安堵の息を吐き出した。
「本当に良かったです!‥‥でも桜庭さん、僕がいるの忘れてません?桜庭さんが女性にそんな首ったけの状態なのは初めて見ましたよ。ラブラブなのはいいですけど、ぜひ家でお願いします」
少し呆れるように渡瀬さんは私たちを見ている。
「ちょうど身の危険を感じたタイミングで2人が現れてくれたんで私は大丈夫です。ありがとうございます。それで、これは一体どういう状況なんですか‥‥?」
「あれ?環菜さんは桜庭さんから何も聞いてないんですか?三上さんは桜庭さんに一度助けられて以来、ストーカーのようにつきまとっていたんですよ。最近は環菜さんにまで目を付けていたようなので警戒してたんです」
智くんの代わりに渡瀬さんは事情を軽やかに説明してくれる。
どうやらここ最近智くんや渡瀬さんがお店に来てくれていたのも、三上さんの動向をチェックする目的もあったようだ。
(何も知らなかった‥‥。だから変な人に気をつけてって忠告されてたのか。それに婚約者役の女避けって、もしかして三上さん避けって意味もあったのかも)
なんだか色々繋がってくるような気がした。
三上さんという女性は、涙を浮かべながら懇願するように智くんを見つめる。
その瞳には好きな人を一身に想う恋する色が浮かんでいた。
「僕はもともとこういう人間ですよ。あなたを助けたのは仕事の一環です」
スパッと言い切る智くんに、三上さんは絶望した顔になった。
もうその瞳には恐怖の色しかなかった。
「こちらにはこのように音声データがあります。表沙汰にしたくなかったら、2度と僕たちに近づかないでください。もし守って頂けないようでしたら、こちらも遠慮なくいかせて頂きますので悪しからず」
釘を刺すように止めの一言を智くんが述べると、2人は逃げ出すようにその場から消えて行った。
その場に残された私は、智くんと渡瀬さんを振り返り交互に視線を送る。
「助けてくれてありがとうございました。あの、2人はどうしてここへ‥‥?」
タイミングよく現れただけでなく、あんな音声データまで持っていたとなると、2人はあの人たちをマークしていたのだろうか。
「環菜が無事で良かったよ」
智くんは背後から抱きしめていた私の首筋に顔を埋めるようにして、安堵の息を吐き出した。
「本当に良かったです!‥‥でも桜庭さん、僕がいるの忘れてません?桜庭さんが女性にそんな首ったけの状態なのは初めて見ましたよ。ラブラブなのはいいですけど、ぜひ家でお願いします」
少し呆れるように渡瀬さんは私たちを見ている。
「ちょうど身の危険を感じたタイミングで2人が現れてくれたんで私は大丈夫です。ありがとうございます。それで、これは一体どういう状況なんですか‥‥?」
「あれ?環菜さんは桜庭さんから何も聞いてないんですか?三上さんは桜庭さんに一度助けられて以来、ストーカーのようにつきまとっていたんですよ。最近は環菜さんにまで目を付けていたようなので警戒してたんです」
智くんの代わりに渡瀬さんは事情を軽やかに説明してくれる。
どうやらここ最近智くんや渡瀬さんがお店に来てくれていたのも、三上さんの動向をチェックする目的もあったようだ。
(何も知らなかった‥‥。だから変な人に気をつけてって忠告されてたのか。それに婚約者役の女避けって、もしかして三上さん避けって意味もあったのかも)
なんだか色々繋がってくるような気がした。