Actress〜偽りから始まるプラハの恋〜
「まぁ、もうあの2人はこれで環菜さんに近づいてくることはないでしょうし安心ですね。では、僕はこのへんで!あとは桜庭さんから聞いてくださいね!」
「渡瀬さん、ありがとうございました‥‥!」
渡瀬さんは私のお礼に応えるように片手を挙げると、軽やかに去って行った。
残されたのは智くんと私だけだ。
後ろから抱きしめられた状態だった私は、一度身体を離して振り返ると、改めて正面から智くんに抱きついた。
彼の背中に手を回してギュッとしがみつく。
(今は外にいて人目があるから婚約者役だもんね。だから婚約者らしく、ただ彼を好きな女の子として振る舞っていいよね‥‥?)
私は婚約者役を利用して、彼が婚約者役に向ける優しさを受け止める。
「智くん、助けに来てくれてありがとう」
「事前に話しておけば良かったね。環菜を怖がらせたくなかったし、煩わせたくなかったんだ。でも結局ギリギリになって‥‥。怖かったよね?」
「何もなかったし私は大丈夫」
「本当に?」
「うん」
智くんの顔を見上げ、安心させるように笑顔で微笑む。
目が合うと、智くんも優しく微笑み、私のおでこに、まぶたに、頬にと順番に唇を落としてきた。
まるで愛しいものに触れるようなそのキスに、婚約者役に向けられたものだと分かっていても胸がトキメク。
同時に胸が締め付けられるような切なさも感じた。
最後に唇にその柔らかさが降り注ぎ、私は目を閉じる。
口の中に入ってくる彼の舌に自分のものを絡ませて、その優しい愛撫に応え、深く深く口づけを交わした。
婚約者役としてでいいから、少しでも彼を感じたくて。
家に帰れば、【彼に興味のない私役】をまた演じるから今だけは‥‥と心の中で思いながらーー。
「渡瀬さん、ありがとうございました‥‥!」
渡瀬さんは私のお礼に応えるように片手を挙げると、軽やかに去って行った。
残されたのは智くんと私だけだ。
後ろから抱きしめられた状態だった私は、一度身体を離して振り返ると、改めて正面から智くんに抱きついた。
彼の背中に手を回してギュッとしがみつく。
(今は外にいて人目があるから婚約者役だもんね。だから婚約者らしく、ただ彼を好きな女の子として振る舞っていいよね‥‥?)
私は婚約者役を利用して、彼が婚約者役に向ける優しさを受け止める。
「智くん、助けに来てくれてありがとう」
「事前に話しておけば良かったね。環菜を怖がらせたくなかったし、煩わせたくなかったんだ。でも結局ギリギリになって‥‥。怖かったよね?」
「何もなかったし私は大丈夫」
「本当に?」
「うん」
智くんの顔を見上げ、安心させるように笑顔で微笑む。
目が合うと、智くんも優しく微笑み、私のおでこに、まぶたに、頬にと順番に唇を落としてきた。
まるで愛しいものに触れるようなそのキスに、婚約者役に向けられたものだと分かっていても胸がトキメク。
同時に胸が締め付けられるような切なさも感じた。
最後に唇にその柔らかさが降り注ぎ、私は目を閉じる。
口の中に入ってくる彼の舌に自分のものを絡ませて、その優しい愛撫に応え、深く深く口づけを交わした。
婚約者役としてでいいから、少しでも彼を感じたくて。
家に帰れば、【彼に興味のない私役】をまた演じるから今だけは‥‥と心の中で思いながらーー。