Actress〜偽りから始まるプラハの恋〜
「こっちは大丈夫。問題ないから安心して」
「それなら良かった。改めてあの時は未遂だったとはいえ、僕のせいで怖い思いをさせてごめんね」
「ううん、ちゃんと守ってもらったって思ってるよ。ありがとう」
未遂だったのは来てくれた智くんと渡瀬さんのおかげだし感謝しているのだ。
知らない間に薬を飲まされてホテルに連れ込まれてるなんていう、前の出来事みたいなことにならなくて本当に良かった。
「でもあの時の環菜は結構冷静だったね。取り乱してもおかしくなかったのに」
「まぁ、過去に似たようなことがあったし、それに比べれば全然マシだったから」
ポロッと口が滑ってしまい、言った直後に「しまった‥‥!」と思った。
案の定、智くんはピタッと動きを止め、眉をひそめて私の方を凝視している。
「‥‥それどういうこと?」
「‥‥え?‥‥何が?」
誤魔化せないかと思ってとぼけてみたが、さすがに今回はそれは通用しないようだった。
口元に僅かに笑みを残しながらも、智くんは睨むように鋭い視線を向けてくる。
「過去にも襲われたって意味?」
「えっと‥‥」
口ごもる私だが、それは許さないというような目で見られて、仕方なく口を開く。
「前にね、飲み会に参加してた時、知らない間に飲み物に睡眠薬を盛られて、そのままホテルに連れ込まれて写真撮られたことがあったの。私は全く記憶がなくて、気付いたら家だったんだけどね。あ、未遂だったんだよ、たぶん!」
女優だった過去と紐付かないように、ただの出来事として話した。
黙って聞いていた智くんの顔からはすっかり笑顔が消え、怒りに耐えるような表情だ。
「‥‥それ、誰にやられたの?」
「‥‥えっと、知り合いの女の子。私の存在が邪魔だったみたい。あの、もう前のことだし大丈夫だよ!私は本当に記憶がないから、言われるまで気付かなかったくらいだし!」
智くんの発する不穏な空気を感じ、慌てて取り繕うように明るくフォローする。
楽しい話題に変えようと思い、やや唐突ではあったが、私は話を戻して旅行について切り出す。
「あ、ねぇ、旅行のことだけどさ。いつにする?場所はどこがいいかな?」
「‥‥話を逸らそうとしてるでしょ」
「だって智くんが何か怖いから」
「そりゃ、あんな話を聞いたら環菜を襲った相手に腹が立つのは当たり前じゃない」
「もう昔のことだし、今は大丈夫だから、ね!せっかくの夕食の時間なんだから楽しい話をしよう?」
まだ納得がいかない様子ではあったが、私にこれ以上辛いことを話させるのは違うと思ったのか、智くんは渋々頷いた。
「それなら良かった。改めてあの時は未遂だったとはいえ、僕のせいで怖い思いをさせてごめんね」
「ううん、ちゃんと守ってもらったって思ってるよ。ありがとう」
未遂だったのは来てくれた智くんと渡瀬さんのおかげだし感謝しているのだ。
知らない間に薬を飲まされてホテルに連れ込まれてるなんていう、前の出来事みたいなことにならなくて本当に良かった。
「でもあの時の環菜は結構冷静だったね。取り乱してもおかしくなかったのに」
「まぁ、過去に似たようなことがあったし、それに比べれば全然マシだったから」
ポロッと口が滑ってしまい、言った直後に「しまった‥‥!」と思った。
案の定、智くんはピタッと動きを止め、眉をひそめて私の方を凝視している。
「‥‥それどういうこと?」
「‥‥え?‥‥何が?」
誤魔化せないかと思ってとぼけてみたが、さすがに今回はそれは通用しないようだった。
口元に僅かに笑みを残しながらも、智くんは睨むように鋭い視線を向けてくる。
「過去にも襲われたって意味?」
「えっと‥‥」
口ごもる私だが、それは許さないというような目で見られて、仕方なく口を開く。
「前にね、飲み会に参加してた時、知らない間に飲み物に睡眠薬を盛られて、そのままホテルに連れ込まれて写真撮られたことがあったの。私は全く記憶がなくて、気付いたら家だったんだけどね。あ、未遂だったんだよ、たぶん!」
女優だった過去と紐付かないように、ただの出来事として話した。
黙って聞いていた智くんの顔からはすっかり笑顔が消え、怒りに耐えるような表情だ。
「‥‥それ、誰にやられたの?」
「‥‥えっと、知り合いの女の子。私の存在が邪魔だったみたい。あの、もう前のことだし大丈夫だよ!私は本当に記憶がないから、言われるまで気付かなかったくらいだし!」
智くんの発する不穏な空気を感じ、慌てて取り繕うように明るくフォローする。
楽しい話題に変えようと思い、やや唐突ではあったが、私は話を戻して旅行について切り出す。
「あ、ねぇ、旅行のことだけどさ。いつにする?場所はどこがいいかな?」
「‥‥話を逸らそうとしてるでしょ」
「だって智くんが何か怖いから」
「そりゃ、あんな話を聞いたら環菜を襲った相手に腹が立つのは当たり前じゃない」
「もう昔のことだし、今は大丈夫だから、ね!せっかくの夕食の時間なんだから楽しい話をしよう?」
まだ納得がいかない様子ではあったが、私にこれ以上辛いことを話させるのは違うと思ったのか、智くんは渋々頷いた。