Actress〜偽りから始まるプラハの恋〜
プラハから電車に揺られること約3時間半。
私たちはカルロヴィバリへと降り立った。
これからの旅行期間中、私はずっと婚約者役でいることになっている。
カルロヴィバリへ着いて街を散策するために歩き出すと、智くんに手を差し出され、私はその手に指を絡めて握る。
婚約者らしく手を繋ぎながら、カルロヴィバリの街並みを楽しむ。
カルロヴィバリも、プラハとはまた違った雰囲気の可愛い街並みだった。
「街の中心を流れるテプラ川あたりが人気だから、まずは川沿いを散策しようか」
「うん!」
川の両側には、パステルカラーの建物が建ち並び、思わず写真に収めたくなるような美しさだ。
カラフルな建物を眺めているだけでも楽しい。
「あれ何かな?」
同じように川沿いを散策する人が食べているものが目に留まり気になった。
「あれは名産のスパワッフルだよ」
「スパワッフル?」
「温泉水が加わったワッフルにクリームが挟まってるお菓子なんだって」
智くんは知ってるけど、以前来た時には食べなかったそうだ。
せっかくだから食べてみようという話になり、私たちはお店で購入する。
近くで実物を見ると、お煎餅のような薄焼きのワッフルだ。
中に挟まったクリームのフレーバーがいくつかあり、私はイチゴ味を、智くんはバニラ味を頼んだ。
「ん!美味しい!バニラはどう?」
「こっちも美味しいよ。食べる?」
「うん!じゃあ智くんもイチゴ食べてみて。はい、あ〜んして?」
自分の食べていたイチゴ味のワッフルを智くんの口元へと差し出した。
彼は一瞬だけ驚くと、素直に口を開けて食べてくれた。
私もバニラ味を食べさせてもらう。
このやりとりは、恋人同士の甘いものそのものだった。
(だって今は婚約者役だからね。役の子なら、ずっと憧れていた好きな人と旅行に来てるんだから、幸せそのもののはず!存分に甘い時間を楽しむはずだもんね。‥‥今だけはそれを利用しちゃってもいいよね?)
川沿いの散策をした後は、温泉水の飲み比べを楽しむことになった。
日本では温泉といえば湯船につかるものだが、ここでは温泉水を飲むという楽しみ方なのだそうだ。
町中に散らばったコロナーダと呼ばれる飲泉所に訪れながら、温度や味が異なる温泉水を飲み比べるのだという。
私たちは取っ手部分がストローになったコロナーダ専用のカップを購入し、コロナーダを巡り出す。
「全部で16ヶ所もあるんだね。制覇していくのって何か燃えるよね」
「環菜がそういうの好きなのは分かる気がする。やり始めたら徹底的にやりたいみたいな感じでしょ」
「うん。なんていうか負けたくない!みたいな」
「これは別に勝ち負けじゃないから」
ちょっと呆れる智くんに手を引かれ、私たちは一つ一つコロナーダを巡っていく。
そのたびに味の違いについて感想を言い合ったりするのがとても楽しくて、幸せな時間だった。
私たちはカルロヴィバリへと降り立った。
これからの旅行期間中、私はずっと婚約者役でいることになっている。
カルロヴィバリへ着いて街を散策するために歩き出すと、智くんに手を差し出され、私はその手に指を絡めて握る。
婚約者らしく手を繋ぎながら、カルロヴィバリの街並みを楽しむ。
カルロヴィバリも、プラハとはまた違った雰囲気の可愛い街並みだった。
「街の中心を流れるテプラ川あたりが人気だから、まずは川沿いを散策しようか」
「うん!」
川の両側には、パステルカラーの建物が建ち並び、思わず写真に収めたくなるような美しさだ。
カラフルな建物を眺めているだけでも楽しい。
「あれ何かな?」
同じように川沿いを散策する人が食べているものが目に留まり気になった。
「あれは名産のスパワッフルだよ」
「スパワッフル?」
「温泉水が加わったワッフルにクリームが挟まってるお菓子なんだって」
智くんは知ってるけど、以前来た時には食べなかったそうだ。
せっかくだから食べてみようという話になり、私たちはお店で購入する。
近くで実物を見ると、お煎餅のような薄焼きのワッフルだ。
中に挟まったクリームのフレーバーがいくつかあり、私はイチゴ味を、智くんはバニラ味を頼んだ。
「ん!美味しい!バニラはどう?」
「こっちも美味しいよ。食べる?」
「うん!じゃあ智くんもイチゴ食べてみて。はい、あ〜んして?」
自分の食べていたイチゴ味のワッフルを智くんの口元へと差し出した。
彼は一瞬だけ驚くと、素直に口を開けて食べてくれた。
私もバニラ味を食べさせてもらう。
このやりとりは、恋人同士の甘いものそのものだった。
(だって今は婚約者役だからね。役の子なら、ずっと憧れていた好きな人と旅行に来てるんだから、幸せそのもののはず!存分に甘い時間を楽しむはずだもんね。‥‥今だけはそれを利用しちゃってもいいよね?)
川沿いの散策をした後は、温泉水の飲み比べを楽しむことになった。
日本では温泉といえば湯船につかるものだが、ここでは温泉水を飲むという楽しみ方なのだそうだ。
町中に散らばったコロナーダと呼ばれる飲泉所に訪れながら、温度や味が異なる温泉水を飲み比べるのだという。
私たちは取っ手部分がストローになったコロナーダ専用のカップを購入し、コロナーダを巡り出す。
「全部で16ヶ所もあるんだね。制覇していくのって何か燃えるよね」
「環菜がそういうの好きなのは分かる気がする。やり始めたら徹底的にやりたいみたいな感じでしょ」
「うん。なんていうか負けたくない!みたいな」
「これは別に勝ち負けじゃないから」
ちょっと呆れる智くんに手を引かれ、私たちは一つ一つコロナーダを巡っていく。
そのたびに味の違いについて感想を言い合ったりするのがとても楽しくて、幸せな時間だった。