青天、哉。
今考えても、あの時の私は人生で一番強引な時期だったと思う。
その強引さはどこからやってきたのか。
わからない。わからないけれど、それだからこそ人生は面白いんだ。
小説だってそう。
先がわからないからこそ、読んでしまうし、面白いんだ。
だから、頼人がまるで二日酔いみたいに頭を抱えて、シラミを追い払うみたいに頭を掻きむしった後、私を指さして、
「光熱費も、だ」
って言った時、こう、胸がぶわーっと熱くなった。
強引になった私の、これから始まる私の物語に、何本もの線が枝分かれのように伸びてきて、
しかもそのどれを選んでも、きっと面白くなるって気づいたからだと思う。
事実、面白かった。
他の誰よりも、面白い人生を送っているんだって、まだ始まってもいない段階で、思えた。