青天、哉。
「なんてこった」
バイトから汗だくで帰ってくると、頼人は女の人を連れ込んでいた。
「あの子がさっき言ってた子?」と女の人が頼人に聞いた。
「ああ、そうだよ。だから、そっちの線から向こうには入っちゃダメなんだ。不法侵入罪になるからな」
いかにも、バカそうな女の人だった。
髪の毛は傷みに傷みまくり、ネイルは剥げかけ、おまけにスマホの画面は割れている。
私の嫌いなタイプの女だ。
「名前は?」
とバカがバカっぽく聞いてきた。
「それが俺も知らないんだ。だから適当に呼んでる」
「適当って?」
「花子のときもあるし、アリスのときもある。昨日はたしか……」
「えー、なにそれ」