青天、哉。




「なんてこった」


バイトから汗だくで帰ってくると、頼人は女の人を連れ込んでいた。


「あの子がさっき言ってた子?」と女の人が頼人に聞いた。


「ああ、そうだよ。だから、そっちの線から向こうには入っちゃダメなんだ。不法侵入罪になるからな」


いかにも、バカそうな女の人だった。


髪の毛は傷みに傷みまくり、ネイルは剥げかけ、おまけにスマホの画面は割れている。


私の嫌いなタイプの女だ。


「名前は?」


とバカがバカっぽく聞いてきた。


「それが俺も知らないんだ。だから適当に呼んでる」


「適当って?」


「花子のときもあるし、アリスのときもある。昨日はたしか……」


「えー、なにそれ」



< 19 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop