青天、哉。
バカ女は自分で「アゲハ」と名乗った。
「これ見て、綺麗でしょ?」と胸元を開くと、そこにアゲハ蝶が羽を広げていて、これが由来らしい。
「どうしてそんなものを身体に入れたんですか?」
と私が聞くと、アゲハと頼人は顔を見合わせ、笑って、
「ホリーちゃん、黄色いアゲハ蝶はね、金運アップにご利益がある縁起のいい蝶々なんだよ」
とアゲハが答えた。
「ま、とは言っても、ご覧の通りなんだけどな」
と頼人が笑った。
でも実際は、あのアゲハ蝶には、もう一つの理由があって、それがこの二人を強く結びつけるものだったことに、私は気づいていなかった。