青天、哉。




バカ女は自分で「アゲハ」と名乗った。


「これ見て、綺麗でしょ?」と胸元を開くと、そこにアゲハ蝶が羽を広げていて、これが由来らしい。


「どうしてそんなものを身体に入れたんですか?」


と私が聞くと、アゲハと頼人は顔を見合わせ、笑って、


「ホリーちゃん、黄色いアゲハ蝶はね、金運アップにご利益がある縁起のいい蝶々なんだよ」


とアゲハが答えた。


「ま、とは言っても、ご覧の通りなんだけどな」


と頼人が笑った。


でも実際は、あのアゲハ蝶には、もう一つの理由があって、それがこの二人を強く結びつけるものだったことに、私は気づいていなかった。



< 22 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop