青天、哉。




意を決して、ショートパンツ、後ろのポケットに入ったスマホに手を伸ばす。


その時、


「待った」


背後で声がした。振り返ると男の人が立っていて、


「大丈夫。あとはなんとかなるから」


と、小脇に抱えたAEDを手に、私を払い除け、倒れた女の子の傍にしゃがみ込んだ。


音声ガイドに従って、適切な処置が施される。そのうちに、倒れた女の子は意識を取り戻し、男の人の問いかけに、微かに、「はい」と答えると、救急車のサイレンの音が遠くの方から、徐々に近づいてきた。



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