青天、哉。
「そういうちかげさんは、話、面白いんですか?」
と私はムキになって聞いた。
「はあ」とちかげはまたため息をついた。
「そういうところ。そういうクソがこびりついた真面目なところが、つまんない話をしてしまう原因ね」
「真面目ってそんなに悪いことなんですか?」
「別に」
「だったら、これも個性なんじゃないですか?」
「そうね。でも、個性ならなんだって受け入れられるわけじゃないのよ。そこを間違えて生きている人がこの世界には多すぎる。自分の個性を押し付けて、理解してくれない方が悪いってね」
「いや、どう考えてもそれを理解しようとしない方が悪いじゃないですか」
「正論ね。でも正論は、社会の正解とはちょっと違う。正義だってそう。正しければ、何でも正しい、っていうのとは違うの」
「ちかげさんのだって……」私は言おうかどうか迷ったけど、言うことに決めた。
「ちかげさんのだって、個性の押し付けじゃないですか」
「そりゃそうよ。私の正義は私なんだもん。あんたの正義はあんたで決めればいい。ただし、絶対にやってはいけないことは、その正義が理解されなかったときに、戦うこと」