青天、哉。




ボロアパートの壁は薄い。


隙間風も、入りたい放題で、外にいるのと変わりない。


ならばと、暖を求めて竹下通りを歩く。こんなに寒いのに、クレープ屋さんの前では、映えを求めて、長い行列ができている。


この行列を、写真に撮って載せたほうが、映えるのではないか、と思うほど、色とりどりの洋服たち。


着こなしているというより、着せられているって感じがする。


「流行りってそんなもんだよね」


とポツリ、本音が出る。行列に並んでいる何人かが私をじっと睨む。


ちかげなら、ここで敬礼のポーズでもするところだろう。あいにく、私にはそんな度胸はない。



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