青天、哉。
前々から気になっていたことがある。
そして、それが今、目の前にあるわけだから、私は聞かずにはいられなかった。
「パソコンで何を打ってるの?」
「小説」
「小説? 書いてるの?」
私は前のめりになって、パソコンの画面を見ようとした。しかし、その角度に沿ってパソコンは折りたたまれていく。
「ダメだ」
「どうして?」
「お前はいつもそればっかだな」思えば私はちかげに指摘されたように、何に対しても質問してばかりだ。
「まだ書きかけだからだよ」
「途中まででいいから」
「それが嫌なんだよ」頼人の注文したホットコーヒーが運ばれてくる。
「不完全なものを世に出すことほど、情けないものはないからな」