青天、哉。




あてもなく歩いた。


二人、歩幅を合わせて、辺りをただ黙って、歩き続けた。


歩きながら、私は遠足の時、同じクラスの男の子に「好きな人いるの?」って聞かれたことを思い出していた。


今よりももっと暑く、今よりももっと明るかった。


「いないよ」と私は答えながら、その男子の反応を見た。


男子は「えー、絶対嘘だろ」と私をからかった。


「いないってば」


「嘘つけ」


「本当にいないんだってば」


本当にいなかった。


でも、その男子のことは気になっていた。


あの遠足だって、その人のことを知れる絶好の機会だと、とても楽しみにしていた。


それなのに、あんなにしつこく聞かれるものだから、私はああ、必要とされているんだと思って、断れなかった。


「キミのことだよ」


電車の中、小さく切ったノートの切れ端を、その人は驚きと、恥ずかしさが入り混じったような表情で見つめていた。


でも、結局付き合うようなことはなかった。



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