運命の人



私、天堂萌音(てんどうもね)には夢がある。

幼い頃から憧れていた芸能界。

歌やダンス、演技が好きだから。

それを仕事にしたかった。

通っていたバレエスクールの先生に勧められて

オーディションを受けた。

1人では受けられなくて妹と一緒に。

妹の名前は天堂萌歌(てんどうもか)。

私とは2歳、離れている。

両親は学校の先生で、幼い頃は厳しく育てられた。

故郷である鹿児島を離れたのは15歳の時。

東京で開かれたオーディションに参加して。

審査員特別賞を貰って芸能界入り。

妹は、その時のグランプリを獲った。

何もかもが初めてで、分からなくて。

心細くて、不安に押しつぶされそうだった。

だけど、自分が好きで踏み込んだ世界。

誰もが容易に入れる世界ではないから。

何があっても挫けないと決めた。

幸いにも私には頼れる妹がいる。

同じ業界で、同じ仕事をして、同じ家で暮らす。

私達の夢はまだ、始まったばかり。
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