若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
「せっかくだから、露天風呂入って来ようかな。」
悪阻が落ち着いて元気になった花がそう言うから、俺は若干心配になる。

「大丈夫か⁉︎
体調戻ったばかりで熱い風呂は身体の負担になるんじゃないか?」

だけど、花は気にしないようで、
「長風呂にならないように気をつけるから大丈夫だよ。」
と、ベッドから起き上がり部屋を出て行こうとする。

「じゃあ、俺も入るか。」
何気ない顔で立ち上がり後をついて行く事にする。

「えっ⁉︎」
びっくり顔で花が立ち止まり振り返る。

「えっ、て何?」
その場を深く考えさせないように花の手を取り脱衣所に連れて行く。

「ひ、1人で入るよ?」

「何で?どうせなら一緒に入った方が安心だろ?」
狼狽し始める花のブラウスのボタンに手をかけ、さも当たり前のように事を移す。

3番目のボタンを外そうとすると花からの抵抗に合い、仕方なく自分の服から先に脱ぐ事にする。

「2人じゃ無いな、正確に言うなら3人だ。
お腹の子も一緒に入いるんだから家族水入らずだな。」

素早く全裸になった俺を、
「わっ!!」 
と、驚き花は後ろ向いてしまうから、

「今更恥ずかしがる事でも無いだろ?
何度も一緒に風呂だって入ってる。」
さも当たり前のように言い退け、花のブラウスのボタンを強引に最後まで外す。


良く考えたら、結婚する前は結構強引で面倒な兄だった筈だ。

いつの間にか花に従順な犬に成り下がっていたが、たまには強引でもお咎めは無いだろうと思う。

妊娠が分かってから忍耐の連続だった。
毎日だって花を愛でたいのに、今はそれも叶わず1人悶々と過ごす日々だ。

ほんの少しのご褒美は必要だろう。

さっきまで悪阻でぐったりしていた花を、どうこうしようなんてこれっぽっちも思っていない。

目で愛でるだけなら旦那の特権だろうと思う。ただ、理性を試される試練でもあるが…。

「今日の柊君、意地悪…。」
最終的に花から睨まれながら、なんとか全てを脱がして風呂に浸かる事に成功する。
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