若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
ずっと湯船に浸かっているのも身重の体に障るといけないと思い、花の身体を優しく洗いパジャマを着せて、髪を乾かし身なりを整える。

その間、なかなか鎮まらない俺の身体を心配し「大丈夫?」と、何度も花に心配されて
旦那の威厳は保てたのか保てなかったのか分からないが…

2人仲良くベッドに入る。

「湯当たりしてないか?水飲んどいた方が良い。」

「ありがとう。」
終始花は心配顔で俺を見つめて来るから、居た堪れなくなる。

「もう、本当に大丈夫だから。」

悪阻で辛いのは花なのに、何で俺がこんなに心配されているんだと、おかしくなってつい笑ってしまう。

「ほら、もう寝るぞ。赤ちゃんの為にも睡眠は大切だ。」

花に言い聞かせ、電気を消す。

花がすりすりと俺の腕に擦り寄って来るから、なんの拷問かと頭を悩ませ眠れず、悶々とする中で、やっと隣からスースーと寝息が聞こえて安堵する。

はぁー、そろそろ弓道場に行って精神統一を図らなければと、自分を自分で律する。

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