若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
「大会まで後少しだね。緊張する?」
花がそう聞いてくるから、どちらかと言えば今、手を握られている方が緊張するんだが、と柊生は思いながら、
「良い意味で緊張はするけど、学生の時のような団体戦は無いからプレッシャーは無いよ。どちらかと言うと楽しみの方が勝ってるかも。」
そう言いながら、これ以上好き勝手触られたら堪らないと花の手をギュッと握り返す。
花は今になって恥ずかしくなったのか、頬を染めて俯いてしまう。
そんな美男美女のカップルがイチャつく姿を、同じように順番を待つ女子高生4人が、こっそりキャーキャー言いながら観察されている事に2人は気付く余地もない。
次々に名前を呼ばれ待合室が静かになっていく。