若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
「ええ…高校時代に少しだけ付き合ってはいましたが…それくらいで接点は無く…。」

「最近、偶然お会いしたと本人が言ってましたが?」

「ええ…妻と食事に行ったファミレスでたまたま。…それがきっかけですか?」

柊生はまだ現実味が無い感覚で、なぜ?と言う言葉だけが、頭の中を巡り回っている。

「貴方と奥様の花さんが夫婦だと言う事はそこで知ったらしいんです。」

「しかし、妻とは接点は無かったですよね?」

「それが、たまたま花さんが働く保育園に子供を預けていたらしく。花さんが先生をしているのを最近知ったそうです。
それで、恨みというよりは一方的に嫉みを持ってしまったらしくて……。」

それから刑事は経緯や動機について詳しく教えてくれた。
柊生は相槌を打ちながら、まるでテレビでも観ているような現実味の無い感覚て話を聞いていた。

最後に刑事は言う。
「この手の事件は良くあるケースで、被害者にはまったく落ち度は無く、加害者が勝手に一方的に妬んである日、衝動的に事件を起こしてしまうんです。勿論、貴方のせいでは無いので、自分を責めないでください。」

「…分かり、ました。」

「また、事務手続きの関係で奥様の病室に伺いますが、どちらに連絡すれば良いですか?」

「僕が必ず立ち会いますので、僕のスマホに連絡をお願いします。」

「分かりました、それでは失礼します。」
事務的なは話をして電話を切る。
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