若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
「怒ってないよ…怒られる訳ないだろ。
わざわざ大変だっただろうに観に来てくれて…。
俺はただ、花の体調が心配だっただけだ。」

自分の事を俺と言う、今の柊生は表の作り笑顔では無く本心からの思いだと分かり、花はホッとする。

「あー良かった。
僕ら見つかったら怒られると思ったから…。」

安堵の声と共に間柴が分かりやすくホッとした笑顔になる。

それを見て、通りすがりの人々も安心したのか目線を戻し会場出口に向かって歩き出した。

「わざわざ花を連れて来てもらったのに、怒る訳無いじゃないですか。」
柊生も心外だと言う風に苦笑いをして、廊下の片隅に3人を誘導する。

「本当にありがとうございました。
慌てて来たので荷物も何もかも置いて来たままで、直ぐ戻らないといけないんですけど、また後日お礼をさせて下さい。
花は責任を持って僕が病院に連れて帰りますので。」

そう言って柊生が頭を下げるから、
間柴も美波もホッとして今日のミッションは終了とばかりに、

「では、私達はこれで帰ります。
あっ!優勝おめでとうございます。凄くかっこよかったです!
もう、私達も興奮覚めやらぬ感じで本当に良いもの観させて頂きました。」

美波はそう言って、間柴と共に楽しそうに帰って行った。

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