若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
それから病院に戻った花は体調確認をして、少しお腹に張りがあるとの診察でベッドの上で横になる。

「少し、昼寝した方がいい。」
柊生は部屋のカーテンを閉めて、花が少しでも寝られる様に場を整える。

「少し疲れただけだよ。
柊君の方が疲れてるでしょ、家に帰って休んできたら?」
朝から緊張の連続だっただろう柊生を気遣う。

「花がいる所が、俺の居場所だ。
家に1人で帰ったところで花の事が気になって休める訳ないだろ。」
柊生は花の横にゴロリと寝転がって添い寝する。

「看護師さん来たら恥ずかしいよ。」
花が言うが、もう来ないよと柊生はたかを括って取り合わなかった。

そして、顔を見つめ合ってたわいも無い話しているうちに、お互い眠くなっていつの間にか2人仲良く寝入ってしまった。

柊生が目覚めたのは夕方の食事が始まる時間だった。
思いもよらずに長く寝てしまった自分に、疲れていたんだなと妙に納得した。

花の入院生活も3週間経った。
来週、問題なければ帝王切開で出産予定だ。

帝王切開の出産は花の身体に傷跡を残してしまうと、入院した当初心を痛めたが、今となってはスケジュールを調整出来たし、安心してその日までに準備を整える事も出来た。

花も陣痛の痛みに闘う事も無いし、何よりハラハラしながら待つ不安が無くて良かったと思っている。

花の寝顔を堪能しながらそんな事を思っていると、

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