若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
「じゃあ、夕方17時から分娩室の予約をしますね。」

夫のスケジュールに合わせくれる病院なんてなかなか無いと思う。
ここ何週間ほぼ病室に一緒に住んでいたと言っても過言じゃない柊生の事を、今では病院のスタッフは当たり前のように受け入れてくれている。

ありがとうございます。と花はお礼を言っていよいよかと気持ちを引き締める。

15時過ぎに柊生から電話がくる。

「花、大丈夫か⁉︎お腹痛いのか?」
心配そうに少し慌て気味の声がする。

「お疲れ様。まだそんなに痛くないんだけどね。先生が言うには陣痛なんだって。」

心が決まった花は、逆に落ち着いていてのん気に話す。

柊生は花のそう言う、土壇場で肝が座る所を何気に凄いと思っている。

「花の痛く無いは、他の人からみたら痛いに決まってる。我慢しないで直ぐに看護師さんに言うんだぞ。」

「うん。分かった。柊君は帰って来れる?」

「ああ、もちろんだ。今、会社に着く所だから何とか急いだら4時にはそっちに行ける。
花は少しでも体調に変化があったら連絡して。」

「うん。お母さんもお義父さんも、もう直ぐ来てくれるみたいだなら、心配しないでね。」

「分かった。じゃあ、後で。」
柊生との電話が終わって直ぐに母と義父も到着し、花と顔を合わせ話しが出来た。
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