若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
待合室に続く廊下から、オギャーオギャーと泣く赤ちゃんの声がかすかに聞こえた。
部屋にいる誰もが立ち上がり、期待に胸を膨らませる。
一歩一歩近づく度に、ドキンドキンと高鳴る胸を押さえて俺は扉を開けて待ち構える。
透明な保育器に入れられた小さな赤ちゃんが、看護師に押されてやって来た。
この子が俺と花の赤ちゃんだ。
目に見た瞬間、これまでのどんな試練も吹っ飛ぶくらいの幸福感に包まれる。
「おめでとうございます。男の子ですよ。
体重は2100gで小さいけど元気な赤ちゃんです。」
看護師の言葉を聞き安堵する。
「花は?妻は大丈夫ですか?」
俺の1番はどうしたって花の事で、
「はい、お母さんも大丈夫です。
麻酔でまだ少しぼんやりしていますが、先程赤ちゃんとご対面して嬉しそうに笑ってましたよ。」
「そうですか…良かった。」
それからしばらく待合室は、大女将を連れて来た康生も一緒に、撮影会に早変わりする。
女将も大女将も涙を流して喜び称え、親父は仕切りに動画を撮り続ける。
康生は何故か赤ちゃんと一緒に写真に収まりたがり、まるで自分の子のように俺に似てないか?と言い出す始末だ。
この子は花と俺の子だ。
と、思いながら目元が花に似ているんじゃないかとか、口元は俺じゃないかとか、釘いるように見つめ続ける。
「あの、皆様。
一通りの検査が終わりましたら、明日病室に連れて行きますので、その時には抱っこ出来ますよ。なので赤ちゃんはひとまずここで退散します。」
困り気味で看護師がそう言って、赤ちゃんを連れて行ってしまう。
家族みんな、去って行く保育器を見えなくなるまで見つめてしまう。
「さぁ、花を病室で待ちましょうか。」
女将の一声で皆我に帰り病室に向かう。
その途中の廊下でベッドに寝かされて運ばれる花に出会う。
俺は駆け寄り花に呼びかける。
「花、大丈夫か?
元気な赤ちゃんを産んでくれてありがとう。」
まだ、眠いのか目を閉じてこくんこくんと頷くだけの花だったが、
良かった…大丈夫そうだと、俺はそっと息を吐いた。
部屋にいる誰もが立ち上がり、期待に胸を膨らませる。
一歩一歩近づく度に、ドキンドキンと高鳴る胸を押さえて俺は扉を開けて待ち構える。
透明な保育器に入れられた小さな赤ちゃんが、看護師に押されてやって来た。
この子が俺と花の赤ちゃんだ。
目に見た瞬間、これまでのどんな試練も吹っ飛ぶくらいの幸福感に包まれる。
「おめでとうございます。男の子ですよ。
体重は2100gで小さいけど元気な赤ちゃんです。」
看護師の言葉を聞き安堵する。
「花は?妻は大丈夫ですか?」
俺の1番はどうしたって花の事で、
「はい、お母さんも大丈夫です。
麻酔でまだ少しぼんやりしていますが、先程赤ちゃんとご対面して嬉しそうに笑ってましたよ。」
「そうですか…良かった。」
それからしばらく待合室は、大女将を連れて来た康生も一緒に、撮影会に早変わりする。
女将も大女将も涙を流して喜び称え、親父は仕切りに動画を撮り続ける。
康生は何故か赤ちゃんと一緒に写真に収まりたがり、まるで自分の子のように俺に似てないか?と言い出す始末だ。
この子は花と俺の子だ。
と、思いながら目元が花に似ているんじゃないかとか、口元は俺じゃないかとか、釘いるように見つめ続ける。
「あの、皆様。
一通りの検査が終わりましたら、明日病室に連れて行きますので、その時には抱っこ出来ますよ。なので赤ちゃんはひとまずここで退散します。」
困り気味で看護師がそう言って、赤ちゃんを連れて行ってしまう。
家族みんな、去って行く保育器を見えなくなるまで見つめてしまう。
「さぁ、花を病室で待ちましょうか。」
女将の一声で皆我に帰り病室に向かう。
その途中の廊下でベッドに寝かされて運ばれる花に出会う。
俺は駆け寄り花に呼びかける。
「花、大丈夫か?
元気な赤ちゃんを産んでくれてありがとう。」
まだ、眠いのか目を閉じてこくんこくんと頷くだけの花だったが、
良かった…大丈夫そうだと、俺はそっと息を吐いた。