若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
病室で家族全員、花が目覚めるのを待って見守り続ける。

俺はひたすら花の手を握り締め、花が目覚めるまで離れる事が出来ない。


「さぁ、そろそろ旅館に戻らないといけませんよ。」
大女将の一声で、父も康生もはぁーとため息を吐いた。

「そうね。
もう時間も遅いし、明日また来ましょう。
柊生君、花と赤ちゃんの事よろしくね。」

女将も母親の顔から女将の顔に戻って、
大女将と共にため息ばかりの男達を連れて帰って行った。


沢山の管に繋がれた花は、見ていても辛くなるほど疲れたのだろうと慮る。

変われるものなら変わってやりたい。

俺はいつしか花の手を握りながら眠ってしまった。
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