若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
一年後、
私は仕事に復帰して子育てと仕事に忙しい日々を送る。

園長先生のご好意により、椋ちゃんは同じ保育園の1歳児の教室に入り一緒に通う事になった。

1歳児の担任は美波先生だったから、気兼も無くて、私にも椋君にとってもまたとない良い環境だった。

私は3歳児を間柴先生のサポーターとして受け持つ事になり、久しぶりの社会復帰にやる気満々で頑張っている。

「ねぇ、花先生。
貴方いつ結婚式するの?」

いつもの業務を終え職員室に戻り、椋君を側のベッドに寝かせながら、最後の日報を書いていると、何故か菜摘先生がそう言ってくる。

「子供が出来たから結婚式を保留にしたんでしょ?」
菜摘先生の関心が何か分からなくて、少し戸惑いながら、

「主人も気になるらしくて、実は最近良く話題になります。
私も仕事がもう少し落ち着いたら挙げられたらと思っています。」
にこりと笑って菜摘先生の顔色を伺う。

「何を流暢にしてるの?早く結婚式はした方がいいわ。
うちの妹なんて、デキ婚で結婚式をやろうと思ったら2人目が出来ちゃって、結局子育てに忙しくなって結婚式どころじゃないのよ。」

怒り口調だが、これは心配してくれているのだろうか?眼を瞬かせながら考えて、

「そうなんですか。
私も出来だけ早くやりたいとは思いますが…」

「結婚式、早くやりなさいよね。
そして私を絶対呼んでよ。」
そう言って去って行く。

意味が分からず、思わず隣の席の間柴先生
を見る。

「多分アレだよ。
菜摘先生、最近婚活してるみたいで出会いを求めてるらしいよ。
結婚式で、誰かいないかって事なんじゃ無い?」

小声で間柴先生が教えてくれる。
なるほど…
みんなそれぞれいろいろ事情があるのね。

結婚式はなんとなく他人事のように思っていたけど、帰ったら柊君とちゃんと話してみなくちゃ。
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