若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
「いや違う。初めて会った瞬間から、花は俺にとって特別だったんだ。」

わざわざ言い直す柊生に何故?と花は首を傾げる。

高校生の柊君はいつだってクールで、会話を交わす事も出来なくて挨拶するのがやっとだったのに…

「花が直ぐに康生に懐いたのに、俺にはさっぱりだったから密かに嫉妬していた。」
初めて聞く打ち明け話しに花は目を丸くする。

「だってあの頃…柊君いつも可愛い彼女連れてたよ?」

「……もうそこは何度も堀起こさないでくれ。」

あの頃の話しになると決まってそう言われてしまうのは結構堪えると、出来れば消したい黒歴史に柊生は苦笑いする。

「花に惹かれる自分を戒めていたんだ。」

高校生が小学生の私を…⁈
花は信じられない気持ちで柊生を見つめる。

「その目が俺を虜にして離さないんだ。」
開き直ったかのようにそう柊生が言い放つ。

虜……⁉︎

花は思う。
的を射抜く柊君の瞳に惹きつけられていたのは私の方だよ、と。

「私の方が……。」
話し出そうとしたところで急速に深いキスをされる。

舌を絡められ、口内を傍若無人に動き回る。
「……っん……。」

花は驚き固まるばかり…

「…柊君…運転…。」

トントン背中を叩いても、後ろの車両が青信号が変わった事を告げるまで離しては貰えなかった。

お陰で花は息が乱れ
しばらくボーっとしてしまう。
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