若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
「ねぇねぇ。彼氏さんとはどこで出会ったの?」
美波先生はいろいろ知りたくて仕方がないようだ。
美波としては、こんなに良い子の花ちゃんを、誰がどこで手に入れたのか、社会人と大学生の出会いなんて、どこにあるのか気になってしまうのだ。
「えっと…小さい頃からの知り合いなんです。」
「それって幼馴染って事?」
「そ、そうですね…。
ずっとお兄ちゃんみたいな存在で…。」
変に思われないように、私は言葉を選びながらゆっくり話す。
「へぇ。そうなんだ。じゃあ、いつ恋に発展したの?」
「好きだなぁと思ったのは、子供の頃からだったので…。意識し始めたのは中学生くらいだったかなぁ。」
「えー、ちょっと今度、恋バナしようよ。
これは短い時間じゃ語れないよ。いつにする?来週土日とかどう?」
「あ、空いてると思います。」
慣れない私は、美波先生のテンションにドキマギしてしまう。
保育園から真っ直ぐの道の角を曲がると、直ぐに柊君の待つ公園が見えてくる。
朝、降ろしてくれた場所に黒光りする柊君のスポーツカーが見えてくる。
そこに寄りかかり缶コーヒー片手にスマホに目を落とす人影が見える。
私は嬉しくなって自然と足が速くなる。
「あ、あの、彼です…。」
なんて表現して良いのか躊躇いながら指差す。
「えっ、マジで!!車どう見ても外車じゃん!!」
美波先生のテンションは更に上がっていく。
「柊君…。」
控えめに呼びかける。
柊君はパッと顔を上げて微笑んでくれる。
横にいる美波先生を目にして、少し驚き軽く会釈をする。
缶コーヒーを車のフロントにわざわざ置いて
「花、お疲れ様。」
と私に笑いかけ、隣の美波先生に、
「今晩は。」
と頭を下げる。
「あの、こちら先輩の美波先生。」
私がそっと柊君に教える。
「望月美波です。私も去年入ったばかりでまだまだ新米なんです。」
ニコニコしながら美波先生が頭を下げる。
「始めまして、一橋柊生と申します。花がいつもお世話になっております。」
爽やかな表の顔で柊君は対応し、内ポケットから名刺まで出して美波先生に渡す。
私は少しドキドキしながら2人を見守る事に徹する。
「わざわざありがとうございます。」
名刺を貰った美波先生は、目を通してびっくり顔になる。
「……取締役社長…。」
柊君を見上げて目をぱちぱちしている。
「今年立ち上げたばかりの小さな会社です。コンサルティング事業を主にしていまして、社員もまだ数人なんですけど。」
爽やかな笑顔のままでそう話す柊君は、まるでマニュアル通りの立ち振る舞い。
いつだって、どんな時だってサマになっていて、私も美波先生も見惚れてしまう。
「あの、通勤は電車ですか?もし良かったら駅まで乗せて行きましょうか?」
柊君が美波先生にそう声を掛けるが、
「あっ、いえ。私、車なんです。
花ちゃん1人で公園は危ないと思って、付いて来ただけです。」
そう言って美波先生はハハッと笑う。
「では、お2人の貴重なお時間をお邪魔しました。じゃあ花ちゃんまた月曜にね。」
美波先生は手を振って私達から離れて行く。
私も手を振り返し頭を下げる。
美波先生はいろいろ知りたくて仕方がないようだ。
美波としては、こんなに良い子の花ちゃんを、誰がどこで手に入れたのか、社会人と大学生の出会いなんて、どこにあるのか気になってしまうのだ。
「えっと…小さい頃からの知り合いなんです。」
「それって幼馴染って事?」
「そ、そうですね…。
ずっとお兄ちゃんみたいな存在で…。」
変に思われないように、私は言葉を選びながらゆっくり話す。
「へぇ。そうなんだ。じゃあ、いつ恋に発展したの?」
「好きだなぁと思ったのは、子供の頃からだったので…。意識し始めたのは中学生くらいだったかなぁ。」
「えー、ちょっと今度、恋バナしようよ。
これは短い時間じゃ語れないよ。いつにする?来週土日とかどう?」
「あ、空いてると思います。」
慣れない私は、美波先生のテンションにドキマギしてしまう。
保育園から真っ直ぐの道の角を曲がると、直ぐに柊君の待つ公園が見えてくる。
朝、降ろしてくれた場所に黒光りする柊君のスポーツカーが見えてくる。
そこに寄りかかり缶コーヒー片手にスマホに目を落とす人影が見える。
私は嬉しくなって自然と足が速くなる。
「あ、あの、彼です…。」
なんて表現して良いのか躊躇いながら指差す。
「えっ、マジで!!車どう見ても外車じゃん!!」
美波先生のテンションは更に上がっていく。
「柊君…。」
控えめに呼びかける。
柊君はパッと顔を上げて微笑んでくれる。
横にいる美波先生を目にして、少し驚き軽く会釈をする。
缶コーヒーを車のフロントにわざわざ置いて
「花、お疲れ様。」
と私に笑いかけ、隣の美波先生に、
「今晩は。」
と頭を下げる。
「あの、こちら先輩の美波先生。」
私がそっと柊君に教える。
「望月美波です。私も去年入ったばかりでまだまだ新米なんです。」
ニコニコしながら美波先生が頭を下げる。
「始めまして、一橋柊生と申します。花がいつもお世話になっております。」
爽やかな表の顔で柊君は対応し、内ポケットから名刺まで出して美波先生に渡す。
私は少しドキドキしながら2人を見守る事に徹する。
「わざわざありがとうございます。」
名刺を貰った美波先生は、目を通してびっくり顔になる。
「……取締役社長…。」
柊君を見上げて目をぱちぱちしている。
「今年立ち上げたばかりの小さな会社です。コンサルティング事業を主にしていまして、社員もまだ数人なんですけど。」
爽やかな笑顔のままでそう話す柊君は、まるでマニュアル通りの立ち振る舞い。
いつだって、どんな時だってサマになっていて、私も美波先生も見惚れてしまう。
「あの、通勤は電車ですか?もし良かったら駅まで乗せて行きましょうか?」
柊君が美波先生にそう声を掛けるが、
「あっ、いえ。私、車なんです。
花ちゃん1人で公園は危ないと思って、付いて来ただけです。」
そう言って美波先生はハハッと笑う。
「では、お2人の貴重なお時間をお邪魔しました。じゃあ花ちゃんまた月曜にね。」
美波先生は手を振って私達から離れて行く。
私も手を振り返し頭を下げる。