若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
何か言いたそうな島津を無視して柊生は、ッチと舌打ちまでして電話を切る。
胸元ではクスクスと笑う花が、柊生の顔を下から覗き込んでいる。
「笑い事じゃ無いからな。
ちゃんと気を引き締めて島津には会ってくれ。本物の女ったらしだからな。」
怒り口調でそう言って、花の胸元のブラウスのボタンを一つ外し、パクッと吸い付きキスマークを付ける。
「ちょ、ちょっと…柊君…。」
花は慌ててボタンを閉める。
独占欲丸出しの柊生は、まるでマーキングするドーベルマンのようだと花は頭の中で思い、思わず頭をよしよしする。
「また、犬だと思ってるだろ?」
柊生は呆れながら笑い、気持ちをフラットに無理矢理戻した。
それから、コンビニでおにぎりとサンドウィッチと飲み物を買い込み、現地に向けて出発する。