若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜

リハーサルも問題無く終了し、会場30分前。

再び控え室に戻って柊生は原稿を読み返し頭に叩き込む。花はその間、邪魔にならないようにそっと外に出ようするが、

「どこに行くつもり？」

と、すかさず柊生にソファに誘導され逆戻り。

「手洗い以外は側にいて。」

手を握られて2人寄り添い、柊生はソファで原稿の読み返しをする。

花はそんな柊生を静かに見守るしかない。

公演会開始の15分前になり、スタッフからの呼び出しで、柊生と花は舞台袖に移動する。

司会進行役の島津もそこで合流し、細かい確認事項を2人で詰めていた。

花は用意された花束を持って椅子に座り、緊張で高鳴る胸を落ち着かせながら、ただひたすら待つのみだ。