若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
「頂いたアンケートの中で1番多かった質問は、プライベートな話ですが、ご結婚されてるんですか?彼女はいらっしゃいますか?なんですよ。

あまりこれまでプライベートをお話しされてこられなかったので、ご結婚されてる事をご存じ無い方は今日、大変驚かれたと思います。」

島津が花の事に触れそう話す。

「このような公演会のご依頼を引き受けるにあたって、うちの営業からはプライベートの切り売りをする覚悟をして欲しいとは言われてました。

僕自身の事についてはある程度仕方がないと思っております。ただ、彼女は仕事もしておりますし、守りたい存在でもありますので、今日のような事はまずこの先あり得ないと思います。」

ここで柊生はマイクを置き、ペットボトルで水を飲む。
その瞬間に花に目を向け一瞬にこりと微笑むから、花の心拍はまたドキドキと高鳴り出す。

「彼女、ボランティア精神が強くて、貴方が強引に誘うから、断れなかったんですよ。」

笑いながらそう島津に言う柊生の目は決して笑っていない。

「では、どうして今日はご一緒に?」

「この前の豪雨の時に思ったんです。
守りたいと言いながら、側にいなければそれすらも出来ないと。」

そうプライベートを垣間見せながら熱く語る柊生に、花を含む会場中の人が釘付けなる。

いつだってどこでだって堂々と、自分の思いを語り花の事を守ってくれる。
そんな柊生を誇りに思い、今すぐありがとうを伝えたい。

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