若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
やっと解放されて2人足速にエレベーターに乗り込む。
「はぁー。なんなんだアイツはワザと邪魔しやがって。」
ため息混じりに悪態を吐く。

「お疲れ様でした。
舞台に立つ柊君、かっこよかった。」
花が満面の笑みを見せる。

「その割にはスイーツに夢中だったみたいだけど?」
柊生は拗ねたように言う。
花は申し訳なく思い視線を漂わせながら、

「柊君もお腹空いたよね…お部屋に戻ったら何かケイタリングサービス頼もうね。」
と、柊生を気遣う。

柊生は舞台上からでも花から目は離さなかった。

視界の端に花を入れながら、変な男に言い寄られないかと心配し、見守っていた。

だから、島津に連れて行かれてしまう花を目にした途端、いい知れぬ嫉妬で心が乱れた。

直ぐに追いかけて、花は俺のだと宣言したいと思うほど冷静ではいられなかったのに、舞台の上から降りられず、作り笑顔もひきつった。
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