若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
花を抱き抱えたまま、ホテルの廊下を柊生は闊歩する。

「柊君、恥ずかしい…下ろして。」
花は小さな声で懇願するのに、

「誰も居ない、気にするな。」
柊生は有無を言わさず花を離さない。

玄関に入った途端、息吐く間も無く唇を奪われる。
戸惑いながらも、花は必死に受け止める。

スカートを容赦無くたくし上げられ、ドレスの背中のファスナーが下ろされる。

「ち、ちょっと…待って…柊君。」
あられもない姿にされて、花は戸惑い羞恥心で顔を真っ赤にする。

スカートに忍び込んだ柊生の手をぎゅっと握り懇願する。
やっとそこで柊生と目線が合う。
射抜くようなその視線が欲望を滲ませ理性と戦っている風に見える。

はぁーーと、終生は深いため息を落とし花から離れる。

「ごめん…暴走した。」
急にしゅんとした柊生を憐れんでしまう花は、やっぱりどんな柊生も大好きで頬に触れて宥めてしまう。

「…花…それ、逆効果だ。」
冷静になれと自分を制御するのに、花に触れられると理性が崩壊する。

「ベッドか風呂か選んで。」
花を抱き上げ究極の選択を花に託す。

「えっ?えっ⁉︎」
花は柊生にしがみつきながら瞬きを繰り返す。

「どっち?」

「お、お風呂…。」
選択を迫られ、冷静に判断出来なかった。
そのまま風呂場に運ばれて、有無を言わせず
全てを剥ぎ取られ後は柊生の思うがままに…

あっ…選択間違えたかも……
薄れゆく意識の中で花は思う。
< 57 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop