若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
朝、浅い眠りの中で花は夢を見る。
花は旅館の庭先で、鯉の池の淵にしゃがみ込み、お腹を空かせて群がる鯉達に餌を投げ与えている。
そこに制服姿の柊生が来て隣にしゃがみ込み、
「どっちが欲しい?」
と、聞いてくる。
大きな手のひらにはクッキーとチョコがある。
花は選べなくて少し考える。
結局決め兼ねて、目を閉じてこっちと指を挿す。
クスッと柊生は笑い、
「手、出して。」
と言ってくるから、両手をお皿のように出すと手の中にお菓子を入れてくれた。
そして、ポンポンと頭を撫ぜて、
「じゃあね。」
と爽やかに去って行く。
その後ろ姿を目で追い、ふと手の中を覗くと
そこにはクッキーとチョコが両方とも入っていた。
そういう選択もあるの⁉︎
子供ながらにドキドキする胸を抑えてしばらく手のひらを見つめる。
そこで、意識が浮上する…。
ぼぉーっとする頭で目を開けると、目の前には画面いっぱいに柊生の笑顔。
ハッとなって、バッと飛び起き、後ろにのけ反る。
「危ない。」
驚き過ぎてベッドから落ちそうになるところを、柊生の逞しい腕に抱き止められて引き寄せられる。
途端にドキンと胸が高鳴る。
ホッとした柊生がハハッと笑い、
「朝から驚かせないでくれ…。」
と、花の額に自分の額をコツンと当てる。
夢と現実の距離感の違いにまだ、心臓がドキドキしている。
花は旅館の庭先で、鯉の池の淵にしゃがみ込み、お腹を空かせて群がる鯉達に餌を投げ与えている。
そこに制服姿の柊生が来て隣にしゃがみ込み、
「どっちが欲しい?」
と、聞いてくる。
大きな手のひらにはクッキーとチョコがある。
花は選べなくて少し考える。
結局決め兼ねて、目を閉じてこっちと指を挿す。
クスッと柊生は笑い、
「手、出して。」
と言ってくるから、両手をお皿のように出すと手の中にお菓子を入れてくれた。
そして、ポンポンと頭を撫ぜて、
「じゃあね。」
と爽やかに去って行く。
その後ろ姿を目で追い、ふと手の中を覗くと
そこにはクッキーとチョコが両方とも入っていた。
そういう選択もあるの⁉︎
子供ながらにドキドキする胸を抑えてしばらく手のひらを見つめる。
そこで、意識が浮上する…。
ぼぉーっとする頭で目を開けると、目の前には画面いっぱいに柊生の笑顔。
ハッとなって、バッと飛び起き、後ろにのけ反る。
「危ない。」
驚き過ぎてベッドから落ちそうになるところを、柊生の逞しい腕に抱き止められて引き寄せられる。
途端にドキンと胸が高鳴る。
ホッとした柊生がハハッと笑い、
「朝から驚かせないでくれ…。」
と、花の額に自分の額をコツンと当てる。
夢と現実の距離感の違いにまだ、心臓がドキドキしている。