若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
柊生は思う。
兄の時の俺と今のただの男になった俺は、花からどんなふうに見えてるのだろうか?

兄の威厳が無くなって幻滅されちゃいないか?

昨夜も要らぬ嫉妬をして、戸惑う花を風呂場で抱いた。選択させたにも関わらず、結局足りずにベッドでも抱いて…。

慣れないパーティーで疲れているだろう花を労りもせず、自分勝手な男だと呆れてはいないだろうか…。

柊生は人知れず自己嫌悪に陥る。

冷蔵庫からペットボトルを取り出して、花の為にとベッドに運ぶ。

「朝食バイキングでも食べに行くか?それともルームサービスにする?」

ペットボトルを渡しながら聞く。
まだ頭が眠りから覚めていない花は、無防備でボケっとしていていつもよりスローモーションで可愛い。

「…ルームサービスがいい。」

「分かった。何が食べたい?適当に頼めばいいか?」

「温かいものが飲みたい。」

「メニュー持って来るからちょっと待ってろ。」
柊生は甲斐甲斐しく動く。
花に嫌われたら生きていけない。それほどまでに花は俺の全てだと思う。

朝食が運ばれる間に花はシャワーを浴び身支度を整える。

柊生はどうしたのだろうと探せば、
広いリビングで腕立て伏せをしてるからびっくりする。
なんでそんなに元気なの?

昨晩、夕飯も食べずにあんなに動いてるのに……
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