若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
花はしばらく筋トレをする柊生をじっと見つめてしまう。

私も何か鍛えた方が良いのでは?と思いながら見ていると、柊生が目敏く気付いて、

「どうした?」
と、汗を拭きながら近付いて来る。

「柊君って…何でそんなに元気なの?」
率直に思った事を聞いてしまう。

「筋トレは学生時代の習慣だから、朝のルーティンみたいなもんだ。」
当たり前だとばかりに言う。

「私も本気で何か運動始めようかな。」

「花は幼稚園で子供達といっぱい動いてるだろ?体力無いんだから辞めた方がいい。」
意外にも否定的な返答が返って来る。

本気で思ってるのに、と花は少し面白く無い。

「体力無いからつける為に鍛えるんだよ。ジョギングでもしてみようかな?」

柊生は渋い顔をして、
「中学生の時、マラソン大会の1週間前から突然練習し始めたと思ったら、転んで膝血だらけで帰って来た事があったのを忘れたのか?」
柊生は目を細めて花を咎めるように見て来る。
「そんな事もあったような…。」

「本当にやめて、俺の心臓が持たないから。
花は何か慣れない事をし始めると、怪我したり寝込んだりするから。心配で見ていられない。」

さすが…お兄ちゃん…。
と、柊生の記憶力に脱帽する。

「シャワー浴びて来る。」
< 61 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop