若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
「わ、私、こっちの花柄のミニワンピースみたいな方がいい。」
遅ばせながら、花が抗うように訴える。

柊生は首を横に振り悟らすように、
「今日はこれに決まりだ。後の2着はまた違う日に着れば良いから。」

「これ、全部買います。1着はこのまま着ていきます。」
サッサっと店員にそう告げて、花が脱いだワンピースを綺麗に畳み出すから、花は慌てて下着をカバンに詰めて隠す。

余り抵抗出来ないままお店を後にする。

「ちょ、ちょっと早いよ…。
柊君の水着は?」
花が慌てて追いかける。

「俺のは花が選んだあのキャラクターのを
甘んじて着るから。」

私に比べれば随分とハードルが低いと思うけど…と、花はちょっと面白く無い。

「絶対、ラッシュガード脱がないからね。」
頑張って抵抗してみる。

柊生は花の着ているラッシュガードのジッパーを首元まで上げ直して、

「ああ、むしろ脱がなくていい。俺以外には見せたく無いから。」

「…それでいいの?」
花はポカンとして思わず聞く。

「普段は清楚な雰囲気の花が、その下にあんな大胆な水着を着てると知ってるだけで、俺は満足だ。」

柊生の言ってる事の半分も理解出来ず、花は首を傾げる。

脱がなくていいなら…まぁいいけど…。
と、花は花で納得してプールに行く。
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