若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜

現実は厳しいと言う事(花side)

そんな楽しかった週末の後、

現実に戻ってまた、忙しい毎日を送る。


季節は梅雨を通り過ぎ、もう直ぐ夏休みが来る。

太陽の日差しも厳しくなって、私の保育園でも毎日プールが始まった。

園児と一緒にプールに入る時は、柊君に買ってもらった花柄のワンピースっぽい水着を愛用している。

今日も朝から既に30℃を過ぎている。

日陰を作ったシェードの下に小さなプールを3つ並べ、うさぎ組さん達と水遊びをする。

シェードから覗くと太陽が眩しくて目が眩む。

それでも元気にいつものように、子供達に手作りの水鉄砲や、ペットボトルで作ったシャワーを使ってちゃぷちゃぷと水遊びをする。


「よし、じゃあ。みんなそろそろ終わりだよー。」

主任の遠藤先生の合図で、子供達を外に出して1人ずつにシャワーをさせる。

出たく無くて嫌がる子、シャワーを浴びずに教室に走って行ってしまう子、まだまだ3歳児は言う事も聞かないし集団行動が苦手だ。

「空君、お教室に戻ったら先生が絵本読んであげるよー。空君にその本選んでもらおうかなぁ。」

花はプールからなかなか出ない空君に優しく話しかけてみると、

「僕が選ぶ!」
空君はパァッと明るくなってプールから出て来てくれた。
良かったぁとホッとして、空君にシャワーをかけていると、遠藤先生が走って教室に行ってしまった子を抱き上げて戻って来た。

「花先生はそういう誘導とっても上手だね。」
遠藤先生に褒められて、嬉しくてついふふっと笑ってしまう。

「僕なんて、直ぐ力ずくでしちゃうから本当は良く無いんだよねー。」
バタバタする脱走犯を抱えながら、遠藤先生は笑う。
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