若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
「花ちゃんは?そういうの無いの?」
美波先生が突然私に振ってくる。

「私ですか?名前にこだわりは特に無いですね。ただ…健康で幸せに生きてくれたらって、漠然と思いますけど。」

自分が子供を産むなんてまだ、イメージが湧かないからか、今まで深く考えた事がなかった。そんな話を柊君としたこともないなと思う。

「僕はどっちかというとできちゃった婚だからさ。」
不意に遠藤先生が話し出す。

「まぁ。奥さんと付き合い始めた時、いつか結婚するんだろうなとは覚悟を決めたけど、子供が出来たって聞いた時に正直ピンとこなかったな。」

「男なんて結局そうなんですよ。
自分のお腹を痛めて産むわけじゃ無いんだから。薄情なんですよ。」

美波はやたら力説する。

「そう云うわけじゃ無いんだけど…
女性ほど実感湧かないんですよ。むしろ生まれて始めて実感したくらいで。」

遠藤先生はそう言って苦笑いする。

「花先生にだけホントは相談したかったんだけど…
実は嫁が子供連れて出てっちゃったんだよね。」
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