若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
ドン  ゴロゴロゴロゴロ…

さっきよりは遠のいただろうか。
雷の音が稲妻よりも幾分遅く聞こえる。

今日の花は雷のお陰で珍しく、積極的にくっ付いて来てくれるから嬉しいけれど…。

ここで手を出したら嫌われるだろうか。

さっきから柊生はそんな事をずっと思案している。

出来れば毎日だって抱きたいのに、
花は慣れない仕事に忙しく、疲れた顔を見せている。
俺も立ち上げた会社が軌道に乗り、今が正念場だと思っているから、なかなか2人の時間が取れない。

だけど…自然災害の中、明日もきっと仕事どころでは無いと密かに思っている。

このまま1週間程閉じ込めてくれても良いくらいだ。

2人でのんびり好きな時に寝て好きな時に起きる。

そんな時間も必要だなと柊生は思う。

「花、眠い?少しだけ触れてもいいか?」

少し眠い頭で花はボーっと柊生を見つめる。

意味がちゃんと伝わって無いのだろうか?

柊生はぎゅっと抱きしめて、クルンと花を下にして組み敷く。

どうする?目で訴えてみる。

今、やっと理解したかのようにびっくりして目を大きくする花が可愛くて、愛しくて柊生は微笑む。

瞬きを繰り返す可愛い瞳にキスを落とす。
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