乙女と森野熊さん
「まだまだこの世界には女性が少ないの。
乙女ちゃんが入れば男性連中大喜びで士気も上がるし。
学校なんてモテモテで困るでしょ?」
「何故か女子には人気があるようです」
とても、女子生徒達ばかりの私のファンクラブがあるなんて言えない。
「ん?男子は?」
「全くありません。男子からは怪力だの大女だの言われてるだけで」
私が笑って言うと、本田さんがコーヒーを飲みつつ呆れた声を出す。
「それは男子が捻くれてるだけよ。
乙女ちゃんは美人で手が届かないからそう言ってるだけ」
「まさか」
「男なんていくつになってもガキだって。
それにここでも男性陣が乙女ちゃんに熱い視線送りまくってたのに」
「高校生がいて珍しかったからでは」
本田さんは目を丸くすると、思い切り笑う。