乙女と森野熊さん
「今日は勝手に行ってごめんなさい!」
「何も謝ること無いよ。俺こそ迷惑かけたね」
そういうといつも通りの無表情さと声で返され、私はおろおろとリビングに向かう熊さんの後ろをついていく。
「お腹減ってる?肉じゃがあるけど」
「飯は食ったから大丈夫。とりあえず風呂に入ってくるよ」
「うん」
弁当箱を受け取り、私は熊さんの態度をどう判断するかに悩んでいた。
少しはわかるようになったと自負していたのに、こういう場合はどうなのだろう。
私はそわそわと熊さんがお風呂からあがるのを待っていた。
お風呂場のドアから出てきた熊さんと思わず目が合い、私は慌てるようにキッチンに行って意味も無く片付ける。