乙女と森野熊さん
「なんで窓際警察官なんて言ってたの?実際はとても偉いんでしょ?」
「別に嘘はついてないし、階級は上にもあるからとりわけ偉いわけじゃ無い」
「お姉ちゃんはもちろん知ってたんだよね?」
「花が既に調べていた。後は質問攻めに遭った。尋問される側はこういう気分なのかと思ったよ」
ストーカー化してたあのお姉ちゃんがらんらんと熊さんに詰め寄っている姿を想像してしまう。
身内からすればほのぼのとした話しじゃ無いけれど、熊さんの目は少し懐かしそうだ。きっとお姉ちゃんとの日々を思い出しているのだろう。
「あいつ、何か言ってたか?」
初めてお姉ちゃん以外に熊さんの側にいる女性を知って、そして熊さんもその女性に親しくしている感じが私の心をもやもやさせる。
「警察庁来ないかって誘ってくれたよ。男性が喜ぶって」
熊さんの眉間に軽く皺が寄る。
「でも私の学力じゃ無理だからお気持ちだけ頂いておいた」
「別にそんなに成績悪くは無いだろう?」
熊さんはそんなことを言うが、私の成績はまさに中間というところで自分の成績に自信は無い。体育くらいだ、自信があると言えるのは。
ただもし私の成績が良かったとしても私にはそっちには絶対に行けない理由がある。でもそれはまだ知られたくない。