乙女と森野熊さん


「調べたら一流大学ばっかりじゃない国家Ⅰ種合格者って。私じゃ無理無理。

それより熊さんってどこの大学で学部なんだったの?」


「T大法学部」


「え」


特に表情も無く答えて麦茶を飲む熊さんを呆然と見る。国立大トップクラスで官僚沢山出してるとかいうとこじゃないの!


「なんでそんな凄いこと教えてくれなかったの?!」


思わず詰め寄ると、熊さんが私を見下ろすがこの目は絶対わかってない。


「私、熊さんが窓際に追いやられて仕事場でイジメに遭ってるんじゃないかと心配してたりしたんだから」


「そうか」


その言葉は少しだけ申し訳なさそうな声色に思える。

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