乙女と森野熊さん


「・・・・・・そういう気持ち、少しはわかるよ。

私もさ、両親やお姉ちゃんの後追って死のうって思ったことあるし」


私の言葉に真奈美が驚いた顔をする。


「驚くこと?そりゃ私だって思うよ。なんで私だけ残すのって思ったし、熊さんが拾ってくれたけれど、しばらくはふとした時に思ってたんだよね、こっから落ちたら死ねるかな、とか。

でもそんなことしたら熊さんにもっと迷惑かけちゃうし。

それにね、真奈美やみんなが変わらずに友達としていてくれたことはとても大きかったんだよ。腫れ物を触るようにしないで普通にして側に居てくれた、それは凄くありがたかった。

他でそういう対応される度、両親の死が蘇って、必死に我慢しているものが決壊しそうで怖かった。

確かに私はお金持ってないから真奈美に一人で生活させるような援助も出来ないし、すぐに楽になるために授けられる知識も無い。

でも私は真奈美に死んで欲しくないの。約束したよね?一緒に旅行行こうって。

私はそれを実現したい。真奈美は?真奈美が最初に言ってくれたんだよ?」


私はゆっくりと語りかける。憎まれていたのかもしれないけれど、私にとって真奈美が優しくて素敵な友人であることに何も変わりは無い。

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