乙女と森野熊さん


「私に今後身長聞くの禁止」


「そんなに気にするものか?」


「熊さんが身長190超えてるから私でも気にならないかもしれないけれど、一般男性の平均身長より上の女なんて誰も女として扱わないだってば」


「花はしょっちゅう、乙女ちゃんは美人、スタイルが良くて羨ましいと言ってたが」


「150センチ前半のゆるふわ愛され系なお姉ちゃんに言われてもなぁ。

そういや先日街でモデルになりませんかとか声かけられたけどね」


「詐欺でよくある手だな」


「そこは、乙女ちゃん可愛いからね、くらい言ってよ!」


私が言うと、お肉のお皿を死守したまま、そうか、と戸惑うように答える。


「美人は駄目で、可愛いは良いのか?」


「良いの。言われないから言われたい。出来れば男子から」


「好きな男子がいるのか?」


「いないよ。彼氏は私より身長高くて強くて頭の良い人がいいな」


「そうか」


「ねぇ、職場にいない?そういう人」


警察官ならきっと熊さんのように私より身長も高いだろうし、そこをクリアできるだけでも貴重だと思い、期待に満ちた目で見る。
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