乙女と森野熊さん
「だって、痴漢といい、ターゲットになるのは可愛くておとなしい子じゃないですか。
私はこの学校内でそういうセクハラ被害にあったことないですけど、それは私がそれなりに強いのを知っているからです。馬鹿にしてます」
「山浦さんありがとう。私大丈夫だから」
「良くないよ。今後一人で行かないと行けないときは私を呼んで、一緒に行くから」
「かっこいい・・・・・・」
握りこぶしを作って真面目にそう言えば、目をキラキラさせて青山さんが返した。
私の身長が低ければ囮になるのに。何か方法は無いだろうか。
「で、生徒会からとして校長に意見するか?」
「いや、それはまだにしておこう」
小林先輩の言葉に思案するように秋山先輩が言う。
「本村先生と話すのを飛ばして一気に校長に言えば本村先生は呼ばれて注意をされるだろうが、それはこの学校では一番知られたくない相手にばれると言うこと。
あの先生は残念なことに陰湿だ。その方法だと無駄に高い先生のプライドが傷つくだけで面倒だよ。
まずは本村先生と話すのが良いだろうね」
みな生徒会長の言葉を聞く。少し顔を傾け思案する顔はなかなかに格好いい。
片手には食べかけの豆大福の白い粉が制服のジャケットに目一杯落ちているけど。
「ねぇ、山浦さん」
思案していた先輩が私に顔を向けて声をかけた。
「何ですか」
「手伝ってくれる?」
「もちろん」
私は口角を上げた。