乙女と森野熊さん
「小論文か。大学入試の対策か?」
「はい。まだどこかとは決めて無いんですけどどうも小論文って苦手で。
少しでもやっておいた方が良いかなって思ったのですが早すぎますか?」
「いやいや入試対策は早いに越したことは無い。
推薦でも小論文を求めてくるところもあるもんな、偉いなぁ山浦は」
「いえ、そんな」
『山浦さんには受験対策の相談をしに行って欲しいんだよね』
秋山先輩の私への指示は簡単なもので、あくまで受験勉強について先生を頼ってきた真面目な生徒を演じることを忘れないこと。いや、私いつも真面目なんですけど。
そして身の危険を感じたらすぐに逃げて、間違えても先生を殴るとかはやめてね、と約束させられた。
多少触られようがそれで捕まえられるのなら良いと思ったけれど駄目らしい。
おそらく本村がセクハラしたことを生徒会役員である私が経験して証人とするのだろう。