乙女と森野熊さん


「お、お前達、俺を脅してどうする気だ?」


「脅す?何か僕たちに脅されるようなことをしたんですか?」


「何を言うんだ!脅迫だろう!こんなものは!」


「実は生徒会に女子生徒達から本村先生の素行について訴えが多く寄せられているんですよ。

この件につきまだ校長はじめ他の教員には報告していません。

今回生徒会は生徒達の人権を守るために行動したまでです。

さて、どうしましょうか。先生自身でお決めになって下さい」


最後だけ秋山先輩の声は落ち着いていた。

その言葉を聞いて本村は唇を噛みしめた後項垂れ、わかった、とだけ言い、それで勝敗は決したのだとわかった。



「ごめんね、気持ち悪い思いさせて」


「いえいえ、大丈夫です」


生徒会室に戻ると秋山先輩が申し訳なさそうに声をかけてくれ、青山さんが心配そうな顔ですぐさまハーブティーを用意してくれた。

だけど喉が渇いているはずなのに口をつける気にならない。

どうしても熊さんを侮辱されたのが心の底でくすぶっていて、出来れば今すぐ戻って本村を殴り倒したい衝動に駆られる。


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