乙女と森野熊さん
「いやー遅くまですまないね。じゃあ自宅まで彼が送るから。大丈夫パトカーじゃないよー」
若い警察官も、えっという顔をしている。
「準備するから廊下のソファーで待っててね」
「はぁ」
おっさんにドアを開けられ、私はタコの宇宙人でも見るかのようにおっさんを見るが、笑顔で見送られた。
何でだろう、何故あのおっさんは熊さんと話して態度があれだけ変わったのか。
警視庁に勤めるのはエリートだなんて聞くけど、窓際警察官の熊さんでも警視庁にいるのならやはり一目置かれるのだろうか。
それとも実は知り合いで身体が大きいのを知ってるから?
そういや熊さんは合気道はやってないけれど、柔道はやってるらしいからそれで投げ飛ばされた過去でもあるんだろうか。
私はひたすら首をかしげながら、結局若い警察官が運転する普通の車でマンションまで送ってもらった。
パトカーじゃなくても制服の警察官が運転している時点でめちゃ注目浴びてたけれど。
若い警察官にそれとなく聞いてみたが、僕も知らないの一点張り。
なんとマンションのドアの前までついて来て、ドアを閉めたのを確認してから若い警察官は帰っていった。
女の子が一人でいるということで警察というのはこういう風にするのだろうか。