乙女と森野熊さん
「お風呂は?」
「湧いてるよ」
「乙女ちゃんはまだ入ってないんだね」
「あー、後で入るよ。だから先入って」
笑顔で答えると、熊さんはどうも先に私がダイニングに行くまで玄関から動かないようなので私は慌てて中に入れば、その後ろを熊さんがついてきて、キッチンにケーキの紙袋を置く。それを私が冷蔵庫に入れようと近寄ると、
「先にお風呂入っておいで」
「私が入ると長くなるから熊さんが先に入ってよ」
熊さんが私を見下ろしながら言うので笑顔で断った。
「大丈夫。俺がいるから安心して入っておいで」
そう言いながらリュックからコンビニ袋を取ると私にくれる。
無表情なままの熊さんに、私は顔を見た後袋を開けると沢山入浴剤が入っていた。
驚いて顔を見上げれば、
「適当に買ってきた。好きなだけ入れると良い」
「・・・・・・ありがとう」