乙女と森野熊さん


「それって、見逃せば良かったって事?」


熊さんが頷いたけれど納得できない。


「コンビニで窃盗して店員突き飛ばして、逃げるときわざわざ小さなりんごちゃんまでを突き飛ばした。一旦振り向いてこちらを見たとき笑ってるようにも見えた。

そんな人間野放しにしたら今度はまた誰か被害に遭ってたかもしれないんだよ?

それでも見逃せって言うの?」


「そうだ」


「なんで?!私なら他の女性よりは強いし、そういう人が見逃したらいけないよ!

おっさんが二人も追いかけてきたはずが、公園で男が地面に転がって私がスマホ持ってるのを見ても二人は怖がってこちらにすぐに来なかった。

私が暴力振るったって勘違いしたのかもしれないけど、少なくともコンビニ襲った男だとわかってたのに。

大人が二人もいたくせに、私ががっちり男の腕を押さえるまで様子を見てるだけで動きもしなかったんだから」

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